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筆と墨があればいつでもできますが、大まかな正式の作法は次のようになります。
写経は、一字書くたびに、一体の仏様をお刻みすること、といわれます。
このことを心において、ただ一人、一心にお経を写すとき、邪念は滅却され、
心の安定が得られるのです。写経の文字は誰にも読める楷書できっちり書かれた、
長文の細字です。これを書きぬくこと、そこには、忍耐と集中力が培われるのです。
香を焚き、姿勢を正し小一時間集中して書写することは、書く禅なのです。
●筆
比較的腰の強く、毛先の鋭い、兎毛やイタチ毛がよいでしょう。形は、穂先が鋭く突き出しているもの、あるいは、錐状の面相筆がよいでしょう。筆をおろすときは、指先で穂先を丁寧にもみほぐし、水をつけて糊気をとり、その上で墨液を含ませて毛先をそろえながら形を整える。
●紙
写経には、罫の入った紙を使います。紙質は、墨のにじまないものが適している。
●墨
小型で上質なものを選びましょう。写経には、粘らず、のびがよく、光沢に冴えのある、漆黒色の墨が適しています。国産の、油煙墨がよいでしょう。
墨を磨るときは、硯の陸(おか)にごく少量の水を入れ、力を入れずにゆっくり磨ります。少し濃い目にするほうがよいでしょう。使用後は、十分に水気をぬぐい、湿気、直射日光をさけて保存してください。
●硯
数滴の水で般若心経が一巻書けますので、小型で質のよいものを選びましょう。使用後は、必ず墨を洗い流しておきましょう。
【天地のあき】
写経用紙には、せまいほうを天(上)に、広いほうを地(下)にします。
罫枠があり天地の広さが違います。これは、経典を尊崇する意味で、
古くから行われてきた様式にしたがっているためです。
【内題】
一巻を代表する経題(表題)巻名は省略せず、正式名称で書きます。
例<摩訶般若波羅蜜多心経>
【本文】
一行17字詰めが約束。唐代の始めに統一されたといわれています。
【奥題】
省略された題名がつかわれる。
例<般若心経>
【願文】
祈りをこめて書く写経には、巻尾に願文を書きます。
年、月、日、姓名、写経の場所、誰のため、という様式です。
【空行】
内題の前、本文と奥代の間、奥題と願文の間、巻末などに空行をとることは、
古来からの様式。
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